メールニュース

日本感情心理学会会員の皆様

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 ・日本感情心理学会 ニューズレター
 ・No. 56 (2014年11月13日)
 ・発行/著作権:日本感情心理学会事務局
 ・問い合わせ先:jsre-post@bunken.co.jp
 ・担当:日本感情心理学会事務局長 有光 興記
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【ヘッドライン】
 1.  「嫌悪とその関連障害: 理論・アセスメント・臨床的示唆」書評
 2.  World Congress Facial Expression of Emotionの体験記
 3.  17th World Congress of Psychophysiologyの体験記
 4.  日本感情心理学会第23回大会のお知らせ
 5.  ISRE2015について(アブストラクト募集開始)
 6.  Boston Emotion Diary

感情心理学研究 最新号へのアクセス:Vol. 21(2013) No. 3
特集「感情を測る」の論文の他,原著,短報,資料論文がご覧いただけます。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jsre/-char/ja/

感情心理学研究 Vol. 22(2014) No.1は発刊,発送済みです。

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 【1】「嫌悪とその関連障害: 理論・アセスメント・臨床的示唆」書評
                   顧問 大坊郁夫(東京未来大学)
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B.O. オラタンジ 、D. マッケイ(編), 堀越 勝 (監修), 今田 純雄,岩佐 和典(監)
「嫌悪とその関連障害: 理論・アセスメント・臨床的示唆」(北大路書房)書評

 多岐に渡る感情が満遍なく研究されているとは言えない。感情研究の先駆者
と言えるDarwin,Cは32種類ある感情の一つとして「嫌悪」を挙げているもの
の、その後、James,Wでもごく僅かな言及しかしておらず、100年以上も無視さ
れてきた、それは何故かとの問いから本書は始まっている。その一つの理由として、
「・・嫌悪という感情がまさに嫌悪的である為だ。」(p.6)としている。人は
自らが不快になることには近づきたくない、敢えて考えたくないものである。
このことは、発達心理学の領域において乳幼児から青年期にかけての成長過程に
ついての研究は多くなされてきたのに対して高齢期についての研究はかなり後発
であったこととも通じることであろう。しかしながら、2000年直前から、嫌悪
研究は精神病理(特に恐怖症、強迫性障害など)との関連で急速に展開している。
これは、嫌悪が生物的、社会的、文化的と多様な広がりのある複合概念であると
の認識の高まりによるとされている。進化的観点から言われていることであるが、
嫌悪感情は、人の持つ動物性につながることでもあるが、食物拒否の感情に由来
すると考えられている。つまり、生存を害する食物摂取を避けるという一種の本
能的な反応による(関連することとして、嫌悪の顔面表情は正しくある物質を吐
き出す際の反応の残滓とも考えられている)。このことと関連するであろうが、
食関連の感情としての嫌悪感情研究がこれまで多くを占めているようである。
しかしながら、嫌悪はあらゆる領域に及んである。特に社会的活動の広がりに伴
い、対人嫌悪、道徳的嫌悪への注目度は大きい。
 本書では、今後の期待される研究としては、脳メカニズム、死、汚染(環境問
題とも結びつく)、細菌理論との関連、他の感情(軽蔑、神性からの逸脱、憎悪
など)との関係、集団間の憎悪、身体特徴(開口部)との関係など興味深い論点
が多く挙げられている。
 ここで扱われている内容は発達的視点、生物学(心理生理学、神経解剖学)的
視点、病理学(動物恐怖、汚染恐怖、摂食障害、性機能不全)、治療にかかわる
ことが大勢である。嫌悪と文化の章はあるものの、対人・社会的視点への言及は
まとまってはなされていない。それは今後に待つことになろう。なお、巻末の
引用文献は45頁と全体319頁の約14%の大部なものであることも含め、便利この
上ないハンドブックである。
 この領域の研究を展開する上で多くの示唆を与えること請け合いである。監訳
者、訳者の労を多としたい。

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 【2】World Congress of Facial Expression of Emotionの体験記
                    理事長 中村 真(宇都宮大学)
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 本年10月9日から11日までの日程で、ポルトガル共和国ポルト市で開催され
た第1回世界表情研究会議(World Congress of Facial Expression of Emotion)
に参加した。この大会のことを知ったのはISRE関係のメール情報だったと思う。
ただ、組織については初耳で、大会のWebページ(http://www.wcfee2014.pt/)
が非常にわかりにくかったため開催そのものに不安もあったが、自分自身が専
門にしてきた表情の国際会議ということだったので、思い切って参加を決定した。
 結論から言えば、プログラム内容そのものは、医学、脳神経科学、心理学と
比較的広い分野の欧州を中心にした研究情報が得られ、ある程度充実したもの
であった。特徴的だったのは、顔面の外科手術とその後の治療やリハビリ的な
取り組みに関する報告が多かったことであろう。そのため、顔面損傷や変形の
患者や手術の経緯などが、写真などによってかなり直接的に提示されたのに対
しては、参加者の多くがかなりの抵抗を感じていたようである。個人的には貴
重な経験と感じられたのと同時に、顔や表情の研究で、このような医療に関わ
る研究の重要性を認識する機会になった。
 最後に、開催に不安を感じていたということに関係して、大会の運営につい
て簡単に報告しておく。お国柄のためか、そのほかの理由があったためかはわ
からないが、結局、大会会場や会場への道案内などについては、最後まで十分
な情報提供がなかった。また、大会当日の時間管理は非常に大まかで、一部の
招待講演者の講演時間が無くなったために日程を変更したり、個人発表の時間
が予定通りに取れなくなってしまったりなどの事態が生じていた。さらに、懇
親会のディナーが午前1時過ぎまで続き、会場も遠方であったため、ホテルに
もどったのが2時半を回っていた。ただ、ポルトガルで接した人たちは、大会
関係者も含めて、みなとても親切であった。早摘みのブドウで作るグリーンワ
インと熟成されたポートワインも含めて、貴重な異文化体験であったと考える
ことにした。

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 【3】17th World Congress of Psychophysiologyの17th の体験記
                  副理事長 大平英樹(名古屋大学)
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 2014年9月23-27日、第17回World Congress of Psychophysiology(世
界生理心理学会大会)が、約400名(うち海外より約180名)の参加者を集めて
広島国際会議場で開催された。会場は、原爆ドームを臨む平和公園に隣接すると
いう歴史的な場所であった。この大会はInternational Organization of Psychophysiology
という学会が隔年で開いているもので、日本はもとよりアジアでの開催はこれが
初めてである。
 大会は「脳と心の科学」と題された一般講座で幕を明けた。「脳トレ」で有名
な川島隆太先生(東北大学)、睡眠研究の田中秀樹先生(国際広島大学)、そし
て筆者が講演を行い、中高校生や一般市民に実験に基づく基礎的心理学の魅力や
応用可能性をアピールした。また、Roberto D. Pascual-Marqui先生
(チューリヒ大学)、Carles Escera先生(バルセロナ大学)、John J. B. Allen
先生(アリゾナ大学)、という著名な研究者と共に、川島隆太先生、銅谷賢治先生
(沖縄科学技術大学院大学)、苧坂直行先生(京都大学名誉教授)が基調講演を
行った。さらに連日、多くのシンポジウムや口頭・ポスター発表が行われ、会場
各所で熱心な議論が展開された。
 今大会で印象的だったのは、多くの海外の研究者が、日本の生理心理学・認知
神経科学研究のクオリティの高さに驚くと共に、日本からの情報発信の少なさを
残念がっていたことである。今後、学術研究における日本のプレゼンスを高める
ためには、優れた研究を行うことはもちろん、その成果を国際誌に論文として発
表することが必要である。また国際的な研究者のコミュニティに参加し、日常的
に最新情報に接し、議論に参加することが必要である。日本感情心理学会でも、
今後そのための支援の方策を検討していきたい。

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 【4】日本感情心理学会第23回大会のお知らせ
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第23回年次大会は,新渡戸文化短期大学(東京都中野区)で2015年6月13日(土),
14日(日)に開催されます。奮ってご参加のほどよろしくお願いします。
今回も若手支援企画が計画される予定です。

大会長:永房典之
会場URL:http://www.nitobebunka.jp/

第24回年次大会は,筑波大学で開催される予定です。
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 【5】ISRE2015について(アブストラクト募集開始)
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ISRE(the International Society for Research on Emotion)2015年大会は, 
Geneva(スイス)で7月8日から10日まで行われることが決まりました。
pre-conferencesとpost-conferencesは,それぞれ7月7日,11日に行われます。 
welcome drinkは,7月7日に行われる予定です。 
アブストラクト締め切り:15th December 2014
http://www.isre2015.org/

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 【6】Boston Emotion Diary   
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 今回は,大坊先生からの書評,中村先生,大平先生の国際学会体験記と,感情
を専門とする心理学徒には大変参考になる内容にすることができました。素晴ら
しい原稿をご執筆いただいた先生方に大変感謝しております。また,会員の皆様
のご感想もお聞かせいただければ幸いです。
 素晴らしいと思ったとき,英語でくだけた言い方だと,'awesome!'(素晴ら
しい)と感嘆します。他にも'Cool'と言いますね。ただ,'awesome'と'feel 
awe'は言葉は同じでも,使い方が違います。'awesome'は「素晴らしい」と
ほめるときに様々な状況で使用されますが,'feel awe'は,美しい自然,音楽に
対して感じ,例えば世界遺産になるような大自然に'feel awe'を経験します。
'awe'は「畏敬」と翻訳されがちですが,むしろ「感動」に近いでしょうか。
'awe'も興味深いテーマですね。
                           事務局長 有光興記

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