ニューズレター

日本感情心理学会会員の皆様


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 ・日本感情心理学会 ニューズレター
 ・No. 143 (2021年11月10日)
 ・発行/著作権:日本感情心理学会事務局
 ・問い合わせ先:jsre-post@as.bunken.co.jp
 ・担当:日本感情心理学会事務局 蔵永瞳
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 ヘッドライン
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【1】日本感情心理学会第29回大会参加記
【2】情報トピックス
【3】エモーション・スタディーズ(ES)特集企画・特別号企画の募集について


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【1】日本感情心理学会第29回大会参加記
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先日、感情心理学会第29回大会がオンラインで開催されました。
会員の山本晶友さん(上智大学)に参加記を書いていただきましたので、以下に掲載致します。
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個人的なお話から始めることをお許しください。今大会のプログラムが公開されて,自分が発表するセッ
ションを確認しました。すると,兄弟子も姉弟子も同じセッションにてご発表予定でした。これを師匠に
ご報告すると,「僕が学位を出した人全員がいる」とおっしゃいました。すごいことですがその通りでし
た。当日,結果として兄弟子は別セッションにうつられていたのですが,姉弟子に司会をしていただきつ
つ,私が研究発表し,兄弟子がそれにコメントをくださるのを,師匠が見守るという現象が実現しまし
た。今大会,私は学位を取得以降初の学会発表であり,初めて師匠との連名ではない発表を行ったのです
が,なお誇らしい繋がりを感じられて思い出深いセッションとなりました。

そんなセッションでの私の研究発表は,これまでずっと取り組んできた陽 (とされがち) な感情である感
謝の,陰な側面にまつわる研究でした。これは博士論文の研究を行っている時からずっと取り組みたいと
思っており,ようやく一歩を踏み出せたデータだったのですが,奇しくも今大会のメインテーマも
「感情の陰陽」でした。シンポジウムはそれぞれ「穢れ」と「美しさ」をテーマとしたものが企画されま
した。宗教的教義,江戸時代の身分制度,シェイクスピアの作中表現など,古くから人類と共にあったも
のと現代の研究知見との関連を見出せることに魅力を感じました。生きた人間の脳を映像にうつすことが
できるまでに技術が発展しても,先人たちが残してきたものについて示唆を得られたり,解釈に援用した
りすることができるのは,人を研究する心理学の魅力の一つであるように思います。

ここからは今大会の実施形態について,僭越ながら一参加者としての感想を述べてまいります。今大会は
リアルタイム型の口頭発表のみを行う大会でした。やはりなんといっても「今発表している方」にコメン
トできること,および「今発表を聞いてくださっている方」からコメントをいただけることは,大変楽し
いものでした。私を含め発表の聞き手となった人たちの「質問をしよう」「コメントをしよう」というモ
チベーションは,リアルタイムだからこそ高く,それゆえに活発な議論が行われる大会となったように存
じます。

ただしこれは,2021年になってZoomの使用に習熟したからこそ言えるのだと思います。2020年当時の私
は博士論文執筆中心の生活を送っており,ゼミや授業といったZoom上のコミュニケーションの経験値をろ
くに積めておりませんでした。そんな当時の私が感情心理学会大会でリアルタイム型の議論を行っていた
としたら,スライドショーを画面共有したり,送信先を「全員」と「澤田(事務局)」で使い分けてチャ
ットに送信したりと,スムーズにできていた自信はございません。

発表形態が口頭発表のみであったことについては,元々口頭発表をするつもりであった私個人としては特
に不自由はございませんでしたが,M1当時の私のことを振り返ると,そう単純な話ではなかったかもしれ
ません。感情心理学会が初の学会参加,かつ初の学会発表であったM1になりたての私は,「口頭発表を選
ぶ人は,その分自分の研究に自信がある人なのだから,ウィークポイントを発表中に指摘されたら恥ずか
しいことだ」という誤った暗黙の信念をもっていました。したがって,「リアルタイムの口頭発表しかで
きません」と言われたら,まず怖気づいてしまっていたのは確かだと思います。一方で,「自信がある人
も無い人も口頭発表するしかないのだから,むしろハードルは上がらない」と,かえって安心を得られて
いたかもしれません。そして口頭発表を経験して,口頭発表も悪くないと思うきっかけになっていたかも
しれません。

なお上記申し添えた通り, M1当時の私の信念は間違っていると今では思います。研究に対する自信と発
表形態は独立したものであって,発表者の望みと発表形態の性質のマッチングで選択する以上でも以下で
もないと考えております。口頭発表では,私の研究テーマに興味が無い方にも“ついで”に私の発表を聞
いていただけて,あわよくばコメントをいただけます。一方,口頭だと2–3分,1–2往復しかできない
ディスカッションも,ポスターであればじっくりと行うことができます。2020年から世界中で強いられ
たオンラインのコミュニケーションにも,口頭発表やポスター発表にも,とどのつまり陰と陽があるのだ
と思います。

総じて,日本感情心理学会第29回大会は例年通り楽しむことができました。末筆ではございますが,
澤田先生をはじめ,今大会にご尽力くださった方々に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。


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【2】情報トピックス
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感情研究に関わる情報をピックアップしてお伝えします。

◆論文情報
・Cognition and Emotion誌で、Emotion recognition, Affective meaning, Emotion 
regulation, Affect dynamics and well-being, Tasks for a theoretical psychology 
of emotion, Music and emotion in intertemporal decision making, Depression 
levels during the COVID-19 pandemic 等に関する論文が新たに公開されています。
https://www.tandfonline.com/action/showAxaArticles?journalCode=pcem20

・心理学研究で、幼児・児童の他者感情推測に関する論文が新たに公開されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jjpsy/advpub/0/_contents/-char/ja


◆国際会議情報
・ISRE2022が以下の日程で対面開催されます。
期間:2022年7月15日から18日
開催場所:The University of Southern California
発表申し込み(アブストラクト提出)〆切は11月21日です。
その他詳細については以下URLをご覧ください。
https://www.isre.org/page/isre2022

・SAS2022が以下の日程でオンライン開催されます。
期間:2022年3月30日から4月2日
参加登録の受付は12月中旬の見通しです。詳細については以下URLをご覧ください。
https://society-for-affective-science.org/conferences/2022-sas-annual-conference/


◆その他、以下もご活用ください。
・感情心理学研究バックナンバー
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jsre/-char/ja/

・エモーション・スタディーズ バックナンバー
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/ems/-char/ja/

・日本感情心理学会Twitter
https://twitter.com/jsre_pr

・日本学術会議「ニューズレター」
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/1bu/index.html


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【3】エモーション・スタディーズ(ES)特集企画・特別号企画の募集について
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ES誌の特集企画は,会員であればどなたでも提案することができます。
(下記URLには,これまで発行された特集のリンク,規程も公開しておりますのでご参照ください。)
毎年4月30日を期限に企画案を募集しています。募集要領をご覧になった上で,ふるってご提案ください。
また,定期発行分に加えて,ES特別号を発行しています。ES特別号とは,会員が自ら特集を企画し,発行
したいという場合に,必要な経費を負担していただくことで,その特集を発行できるようにするためのプ
ラットフォームです。
具体的には科学研究費等の研究成果やシンポジウム等の発表内容の公刊を念頭に置いています。ぜひ特別
号もご活用ください。ES特別号についても「ES特集号に関する申し合わせ」をご覧になった上で,ふるっ
てご提案ください。問い合わせは,随時,学会事務局までご連絡ください。

参考:http://jsre.wdc-jp.com/emotion.htm

ES編集委員会


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