日本感情心理学会 第26回大会

大会における主な企画・行事

大会メインテーマ「感情研究の多様性」

特別講演

沼尾みゆき

「ミュージカルにおける感情表現と演者の役割について」

 11月10日(土)15:45〜17:15 5号館3階5310

企画:戸梶亜紀彦(東洋大学)
講師:沼尾みゆき

ミュージカルは歌と音楽・台詞・ダンスで構成された演劇形態の一つであり、俳優、舞台美術、照明、音響などを通して作品の魅力を伝えます。その中でも俳優が担う一番重要な役割は、作品や作者の想いが詰まった台本の『言葉を正確に観客に届けること』です。
以前在籍していた劇団四季には言葉を明確に伝えるための3つのメソッドがあり、それらを用いて言葉を伝えることを実践しています。台本をもらってから演者が具体的にどのような作業を行い、感情を表現し、伝えようとしているのか、それを観客がどのように受け取るのか。劇団四季に13年間在籍し、「オペラ座の怪人」のクリスティーヌ役、ミュージカル「李香蘭」の李香蘭役、「美女と野獣」のベル役、「サウンド・オブ・ミュージック」のマリア役など数々の作品でヒロインを演じ、退団後もミュージカルやコンサートの舞台に立っている経験からお話させていただき、実演を通して体感していただければと思います。

講師のご紹介
栃木県宇都宮市出身。とちぎ未来大使。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。
二期会オペラスタジオを経て1998年「四季劇場開場記念オーディション」に合格し、劇団四季に入団。
『オペラ座の怪人』クリスティーヌ役、『ミュージカル李香蘭』タイトルロール、『サウンド・オブ・ミュージック』マリア役、『美女と野獣』ベル役など数々の作品にヒロインとして出演。
『ウィキッド』日本初演時には、ヒロインの一人グリンダ役で初のオリジナルキャストに選ばれソプラノとポップスを見事に歌い分ける安定した歌唱力、そしてコミカルな演技にも挑戦し、高い評価を得た。2011年末劇団四季を退団。

退団後の主な出演作品にミュージカル『ひめゆり』(上原婦長役)、日生劇場ファミリーフェスティヴァル2016ミュージカル『三銃士』(アンヌ王妃役)、ミュージカル『タイムトラベラー』(リンジー役)など。
また、『ミュージカル・ミーツ・シンフォニー』(2014、2016)、にっぽん丸船上でのソロコンサート『亜細亜海道スペシャルコンサート』、『KING&QUEEN ―鹿賀丈史×濱田めぐみミュージカルコンサート―』などコンサート・ライブや、テレビ東京系『THEカラオケ★バトル』などテレビ番組他出演多数。

沼尾みゆきオフィシャルサイト:https://www.miyuki-numao.com/

シンポジウム

シンポジウム1
「感情の応用的研究 ―多様性を求めて―」

 11月10日(土)13時30分〜15時30分 5号館3階5310教室
企画・司会:
戸梶 亜紀彦(東洋大学)
話題提供者:
押見 大地(東海大学)
「スポーツマネジメント研究における感情心理学の応用」
小林 重人(北陸先端科学技術大学院大学)
「地域コミュニティへの愛着と貢献意識を高める手作りの仕組み」
杉谷 陽子(上智大学)
「感情と消費者行動-店舗内行動およびブランド研究について」
企画趣旨 :
このシンポジウムでは、『感情の応用的研究-多様性を求めて』と題して、感情を重要な要因と位置づけた応用的研究を行っている他分野の若手の先生方をお呼びし、スポーツ観戦者(スポーツ消費者の感動)に焦点を当てたご研究、地域活性化(地域コミュニティへの愛着)に焦点を当てたご研究、消費者行動(店舗内購買行動およびブランド態度形成)に焦点を当てたご研究について紹介していただきます。さまざまな領域での応用的研究から、感情研究の新たな可能性について考えるヒントを提供できればと期待しております。なお、本シンポジウムでは、話題提供者とフロアの先生方との活発な議論を行っていただくため、あえて指定討論者をおかない形にしておりますので、多くの方からの質疑を期待しております。

シンポジウム2
「倫理で感情研究を豊かにする」

 11月11日(日)13時30分〜15時30分 5号館3階5310教室
企   画:
日本感情心理学会倫理委員会
話題提供者:
河合 孝尚(長崎大学)
池田 功毅(中京大学)
佐藤  德(富山大学)
指定討論者:
中村  真(宇都宮大学)
企画趣旨 :
昨今社会を賑わすニュースには、ハラスメントの問題など、個人の倫理観を問うものが非常に多くなっている。研究者に倫理を求める動きもまた、近年急速に進んでいる。こうした社会の情勢を踏まえて、日本感情心理学会では2015年度より倫理委員会を設置し対応にあたっている。倫理規範は確かに大切であるが、法令やルールを闇雲に遵守することよりも、正しく理解しうまくつき合うことが、自身を守り、研究の発展を目指す上で不可欠である。そこで倫理委員会では、倫理で我々の研究をより豊かにするためのシンポジウムを企画する。

プレカンファレンス(若手シンポジウム)

「今,改めて問う『感情とは何か』(2)
 ―感情の定義を創発しよう―」

11月9日(金)15時15分~17時30分 5号館3階5310教室
企   画:
武藤 世良(お茶の水女子大学)
白井 真理子(同志社大学)
話題提供者:
菅原 大地(筑波大学)
小林 亮太(広島大学)
菊谷 まり子(東洋大学)
企画趣旨 :
“Everyone knows what an emotion is, until asked to give a definition.”(Fehr & Russell, 1984, p. 464) ―この一文が象徴するように、感情とは誰もが発動できる一方で、誰も正確な呪文を知らない奇妙な魔法のようである。昨年度の企画では、感情の上位概念と操作的定義を主題とし、感情とは何かについて改めて問題にした。その結果、日本の若手感情研究者の中でも、感情の定義は実に多様であることがうかがえた。
近年、感情は自然類ではなく、その都度創発されるという“emergence”の立場をとる研究者が増えつつある (e.g., Barrett, 2013; Scherer, 2009)。感情研究者の知恵と努力が集まれば、感情の定義に関しても、部分総和を超える発想ができるかもしれない。しかし、創発のためには要素が必要である。
そこで本年度は、感情の主要な構成要素(e.g., 主観的情感や生理的変化)に主に着目し研究を続ける若手研究者3名から話題提供をいただく。菅原氏には主観的情感、小林氏には生理的変化、菊谷氏には表出の観点から、ご自身の研究から見えてきた感情の捉え方についてお話しいただく。昨年度と同様に、当日は参加者ご自身が指定討論者となり、皆で議論する時間を楽しんでいただければ幸いである。